50ページに満たない、祈りのための小さな絵本です。まえがきで原著者のマリ=アニェス・ゴドラは、この本を作った趣旨を説明します。「……子どもが想像力を働かせるための具体的なイメージを描いてみました。……絵を見ているうちにお祈りの最初の一歩が踏み出せる、最初のひとことが出てくる、そうなるようにと、絵に短い言葉もそえてあります。それがお祈りを始動させるでしょう」。
ゴドラはさらに続けて説明します。「この本のテーマが一貫して『神さまとの出会い』なのは、子どもたちが、『祈りとは何か』ということを知るためにほかなりません。つまり、祈りというものは『暗記用の祈り文』でも、『祈りのための処方箋』でもなく、……その場そのときに、うちから溢れてくるものであるはずだからです」。
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すべてのページに、表紙と同じような、祈りのテーマに沿ったやさしい絵が描かれています。ここでは、一か所だけ引用します。
・ 大好きなひとに会うと
私は しあわせになって
そのたびに 私のどこかが
変わっていきます。
三つの絵があります。
起き上がりこぼし 小石 ガラス。
お祈りで 神さまにお会いすると
私は 少しずつ 変わっていきます。(23頁)
上記の文の後に、起き上がりこぼし・小石・ガラス、それぞれについての絵と文が続きますが、ここでは、小石に関する文を紹介します。
・ 水につかった石けんのかけらは
いつのまにか
水にとけて なくなってしまいます。
でも、小石は水にとけません。
それどころか 滝や川の水のなかで
いつのまにか 角がとれて
まるい きれいな形になります。
「かみさま
わたしのこころが あなたにみがかれて
きれいな こいしのように なれますように。」(26頁)
訳者の佐久間彪氏(カトリック司祭)はあとがきにこう書いています。「このすばらしい祈りのための絵本を、子どもたちのため、いやむしろおとなのためにこそ訳しておとどけします。……小さい、うすい、でも、深い広い祈りの世界に導いてくれる楽しい本。それが、この祈りのための絵本『お祈りしたいな』なのです」。
同じ出版社から以下の姉妹編の絵本も出ています。
『からだで祈ろう』『朝です―復活祭の祈り―』『光です―クリスマスの祈り―』『うれしいときのお祈り』『おはなし しよう 神さまと わたしの詩編』
いずれも、きれいな絵とやさしい言葉で祈りの本質に導きます。大人が読んでも心に響く本です。
JELA事務局長
森川 博己
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